ドッグトレーナー養成スクールPLAYBOW セミナーBLOG 学習理論だけでは不十分!

学習理論だけでは不十分!

藤田 りか子

藤田 りか子
昔の犬相棒、レオンベルガーのクマ嬢は、クリッカーで面白いほど、ダミーのレトリーブを覚えてくれた。

クリッカー・トレーニングなるものを初めて知ったのは、かれこれ17年前、90年代のこと。そのとき、カーレン・プライアーの小冊子を夢中になって読み独学でクリッカー理論を学びました。そして、あっという間のそのトレーニング効果に、たまげたものです。もちろんスウェーデン語では本が当時出ていなかったので、アメリカから冊子を取り寄せました。
クリッカー・トレーニングとは、すなわち、学習理論(ラーニング・セオリー)いわば、行動主義心理学独特の「生物=機械」的なトレーニング科学。刺激を与えれば、その反応をする、というすごくシンプルに方程式が立てられる理論でもあります。

当時犬のトレーニングのビギナーであった私は、これは簡単明瞭!と レオンベルガーというのっそりとした犬種に、つぎつぎと小技を教えることに成功をしました。と、急にトレーニング世界が広がった快感を今でも覚えています。モッテコイ、お花をくわえてポーズ、電話の受話器を取る、こんな技は、クリッカーで教えると、レオンベルガーでも、あっという間だったのです。

ただし。技を教えることができても、何かが私たちの間に欠けている、とつねづね感じ続けていました。確かに犬とのコンタクトは遥かに以前よりは増えました。でも、これだけでは、たとえばオビディエンスの競技会なんかに出るのは、やっぱり力不足。犬からの強い「ついてゆきたい」力が、見えないのです。

そんなことを10年以上ずっと考えていたら、エヴァ・ボッドフェルトさんが、2年前あたりぐらいから、「学習理論だけで、トレーニングを完成させる、ということに私はつねづね、疑問を感じているんです」と公に発言するようになりました。それを聞いた時、私は、
「そうだよね、そうだよね、やっぱり、そうだったか!!」
と救われた気持ちがしましたね。前回のブログ「飼い主はマグネットになる」でも述べましたが、犬が飼い主に惹きつけられている状態、つまり協調関係を築いている状態じゃないと、飼い主との仲としては完成の域に達さない。ほら、やっぱり学習理論だけじゃ、だめなんだ。でも、もちろん学習理論を知っていなければ効果的にトレーニングを与えることもできないですから、この二つは切ってもきれない、ハンド・イン・ハンド。

藤田りか子

オビディエンスなんかもそうですが、レトリーバーのトライアル・スポーツに興味のある私としては、犬との「関係」ができていないと、もうゲームにはなりません!何しろ、レトリーバーのフィールド・トライアルとくれば、犬は広大な野原や葦の茂る湖のほとりを撃たれた獲物探し(あるいはダミー)のためにリードなしで自由に走ることになるのです。ここで、犬との関係ができていなければ、犬は、いつだって好きなことをして、しまいには、走る去ることだってできる!その点で災害救助犬のトレーニングも同じです。
レトリーバーの世界のトレーナーは、よくこういうことを言います
「早くから、むやみやたら フィールドに出てダミーのトレーニングをしないこと。まずは、若犬と絆を完全に作り上げてから」
この絆づくりをやっていれば、いざ、フィールドで新しいことを教えても、失敗をしにくい、ということなのですね。犬は常に、ハンドラーの存在を意識しながら仕事をしますから。

エヴァが、学術博士であるテレース・レンさん(今回一緒に、エヴァと来日をしてお話をしてくれます)という人物に、非常な興味を持ち始めたのも、兼ねてからエヴァが感じていた「人と犬との惹きつけられの関係」を、テレースさんらは、学問的に科学的に 説明をしてくれる、から、というのですね。最近犬学の世界で発表されている数多くの学説、たとえば犬に触れると癒される、とか、犬は人の意図を理解する、とか、正直言って犬の飼い主なら、もうとっくにわかっていたことばかりです。ただし、それらに、客観的に推し量れる計測可能なデータがあって、証明が可能でした!というお墨付きが最近、動物行動学の世界から与えられるようになった。それで、「関係」という目に見えない絆を信じるエヴァとしては、「やっぱりね!私の言っていることは、科学からも離れていない!」と、正式なサポートを得た、といえばいいでしょう。

テレースさんの研究については、またおいおいにブログで紹介します。そして、テレースさん自身も、もうすぐブログに参加してくれるはずです!乞うご期待!

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藤田りか子(Rikako Fujita)

神奈川県生まれ。動物レポーター・ライター・カメラマン。
学習院大学を卒業後、オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物学科卒業。
生物学修士。
国内外のペット・メディアに向けて動物行動学や海外文化についての執筆を続ける。
現在、スウェーデンの中部ヴェルムランド地方の森で、犬、猫、馬たちと暮らす。犬は断然レトリーバー!
2015年9月に来日し、プレイボゥ主催のスペシャルセミナーを開催予定。