インパルス・コントロールを培う その1(連載5回目)
エヴァの手のひらテクニックを解説
文と写真 藤田りか子
前回(連載4回目)からの続き
動画では一見ドタバタとエヴァさんとラッコが遊んでいるように見えるのだが、エヴァさんはこの中で犬に一つの大事な学習をさせていることに気がつかれたい。
「楽しいことは、必ず人の体周りで起こる」ということ。
それを犬にどうやってわからせるか、連載3回目、そして4回目に引き続き、以下をご覧いただきたい。
4.ラッコがおもちゃを返してもらう時も、エヴァの手のひらのところに来るまで、渡してもらえないことに注目。
1)おもちゃ欲しいのなら、
ちゃんと私の手元まで来なきゃ!
2)エヴァさんは、ここでもラッコがエヴァを
追いかける状態にしながら後ずさり
3)別の手におもちゃを持ち替えて、
ラッコが必死にそれを追いかける。
エヴァはレトリーバーに持ってこいを教えるときもこの方法を使う。ただ物品を投げて取らせるのではなく、手で持ち替えて、それを追いかけさせ、そこからくわえさせる。この方が犬をコントロールつけやすく、悪い癖をつけさせずに済む。
(持って行ったきり、帰ってこない、など)
4)僕、それ欲しい!
5)じゃぁ、あげる、
ちゃんとずっと私の動きについてきたものね!
5.エヴァさんは、手のひらというものをラッコにはっきり認識させるために、常に手をグーにして閉じている。
ラッコに来てもらう時になって、手のひらをパッと見せる。それがシグナルになり、ラッコはエヴァに引き寄せられる。
1)エヴァさんのグーにしている手に注目
2)ラッコがやってくる瞬間にパッと手を開く。
本当は、ラッコはここでおもちゃをくわえたまま
手の平をタッチすべきなのだが、落としてしまった。
6.手のひらを見せているにもかかわらず、ラッコが手に到達する前におもちゃを落としてしまうと、エヴァさんはすかさず手を後ろに隠すか、グーを見せて、手のひらシグナルを中断する。再びラッコがおもちゃを拾うまで、手のひらシグナルを見せない(こうして確実に手のところに物品を持ってくる、という癖をつけている)
1)くわえて持って行ったおもちゃをちゃんと手に返してもらうためには、手の平をターゲットにしてもらって、
くわえたまま鼻をそこに押し付ける、というトレーニングを行う。
こうして、確実に手に物品(いずれダミー)を渡すという癖をつける。
エヴァさんは手の平を見せた。ラッコは物品を持って、そこに目がけてゆくが….
2)ラッコは落としてしまった。
3)すかさず、エヴァさんは
手を後ろに隠した。
4)そして次のトライ。
手の平を見せた。
ラッコはおもちゃをくわえて
そこに目がけてやってくる
これらのポイントを頭に入れて、再度動画を見てみよう!
次回はなぜこれがインパルス・コントロールにつながるのか、をこれまでの「まとめ」として紹介します。
動物愛護先進国である北欧スウェーデンから、藤田りか子さんをはじめ、BLOGにも登場されている
エヴァさん、イェシカさん、バルブロさんが来日します!
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