インパルス・コントロールを培う その2(連載1回目)

      2016/08/18

興奮せず、落ち着いて居ることを教えるエクササイズ

インパルス・コントロールを培う
文と写真 藤田りか子

インパルス・コントロールには幾つかの方法がある。前回はハッピーゾーンという概念について話をした。ハンドラーの周り(ハッピーゾーン)にいたい、という気持ちがあれば、犬はよりこちらに神経を集中させることができる。そうなれば、誘惑があっても余計なインパルスを作らないで済む、というものである。

「ハンドラーの50cm周辺 」で犬に好印象を与える、というトレーニングの他にもう一つ並行して行なっているインパルス・コントロールを培うエクササイズがある。
それはリュックサックという方法だ。
人間は座り、足の間に犬を座らせる。この様子は犬がリュックサックを背負っているようだから、だ 。
リュックサックはエヴァさんが、スウェーデンでドッグトレーニングの基礎セミナーを行うときに必ず紹介する方法で、彼女のトレーニングの根幹をなす部分でもある。

興奮せず、落ち着いて居ることを教えるエクササイズ子犬のヴィリアの前にはトリーツの入ったボールが。そしてエヴァさんはヴィリアを膝の間で待たせる

犬を脚の間に座らせて、犬が落ち着くのを待つ。犬の前にはトリーツが置いてある状態だ。
これは単なる「マテ」のエクササイズと異なる点に注目!
待ったからトリーツをもらえるのではなく、落ち着いたからトリーツがもらえる。
ただし落ち着いているのと、待っているのと、どう見分けるのか。
だからこそ脚の間に入れて犬の感情をつぶさに知る必要があるのだ。

一応座っているものの、
「前に行きたい、行きたい!!!」
と焦っている犬は、大抵の場合すでにストレスによって沸騰状態にあるため、その後ハンドラーから何の号令を出されても聞く耳を持たない。やみくもに走り出すだけである。
これはレトリーバースポーツやアジリティをトレーニングした人なら覚えがあるはずだ。
ここにこそインパルス・コントロールが必要なわけだが、このやみくも状態の行為を叱ったところであまり効果がない。

ならばエヴァさんは、犬が一旦気持ちを落ち着けるまで待つ、という手段を取る。
単に待たせるのではない。犬が「ストン」とテンションを落としたその瞬間、前に出てトリーツをとっていいよ、をご褒美にする。

「ストン」とテンションが落ちた瞬間をどう読むかが問題なのだが、それは次回の記事で紹介しよう。

 

インパルス・コントロールを培う その2

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