
このビデオクリップに見せるのは、ゼルダという、私のところにきた当初は臆病で、シャイで人間と遊び方すら知らなかったチャイニーズ・クレステッド・ドッグです。この自信のない犬に、私はたくさんの遊びを交えながら、しつけに必要なトレーニングを行い、協調関係を築き上げてきました。
トレーニング、としてかしこまる必要はありません。とくに、ゼルダのようなシャイな犬には。遊びの中で必要な動作を覚えさせることができます。
さて、動画に紹介しているのは、私とゼルダの間だけでやっている「はっちゃけ呼び戻し」遊びの様子です。まず、ゼルダ(あるいはもう一匹のチャイクレ、ネミ)に手にあるトリーツを見せます。そして、抱きかかえ、ゼルダを低い位置から放り投げます。同時に、私は後ずさりしながら、彼女の名前を呼びます。ゼルダ(あるいはネミ)は、放り出されても、瞬間にくるりとこちらに向き、弾丸のように私のところに戻ってくる様子に注目をしてみてください。そして私はトリーツを与えています。
トリーツを与えるや否や、再び私はゼルダ(あるいはネミ)を抱きかかえ、同じように放り投げますが、今度は別の方向に押し出してあげます。このようなアクティビティを通して、犬たちは私といっしょに遊ぶ、ということの楽しさを覚え、より遊び欲が強まってゆく、という次第。私といっしょにいることの楽しさ、その感情を抱いてくれるのですね。こうすることで、犬にとって呼び戻しの合図 も面白く感じられ、その行動を強化させることができます。
ビデオの解説 (藤田りか子)
エヴァさんはゼルダにトリーツを見せてから、「一、二の三!」でネミを前方に放り投げます。すかさず、後退しながら「ネミ~」(2回目では「ゼルダ~」と言っています)と呼びます。さて、エヴァさんは、はしゃいで呼び戻しをしながら、ちゃんと左のヒールポジションにつけようとしているトリックにも注目!そして、トリーツを与えながら、撫でてあげます。
これがすべて「人といっしょにいると楽しいね!」感を培っています。トレーニングをしながら、というところがミソです。みなさん、前回私が書いたブログ「学習理論だけでは不十分!」を覚えていますか?こんな、ところからも、エヴァのトレーニングの姿勢がわかるというものです。
そして最後の方で、今度はゼルダをあっちにいけ~とばかり押し戻しながら、ゼルダ~!と言いながら、後退して、さらに呼び戻しの行動のトレーニング強化させています。それも、とての楽しく!ゼルダが、押されても押されても、マグネットに惹かれるように、エヴァさんのところにゆく姿が、とても興味深いですね。
この犬、ほんと、シャイで何もできない犬だったんです。それが1年後には、こんなに明るく変わりました。遊びをベースに必要な行動を学ばせ、かつ、一匹と一人の間に、流れる「楽しい」という感情を育て上げました。
スウェーデンにおけるドッグシーンのカリスマ的存在、 エヴァ・ボッドフェルト。
ドッグ・トレーナーでありコンサルタント。講演会のスピーカーとしても大人気。
北欧の犬本のベストセラー、6万冊を売った「フォロー・ミー」の著者。3カ国語に訳された。
エヴァのトレーンングとコンサルティングの基調は、「学習理論」と「犬と人との協調関係」、そして「正しい動作を見つけて褒める」「犬の個性を尊重する」。
2015年9月に来日し、プレイボゥ主催のスペシャルセミナーを開催予定。