テレース・レンさん(写真左)が現在進行中の研究、ゴールデン・レトリーバーをつかって実験をしているところ。ちなみに、このゴールデン、森山先生のスウェーデンのフィールド系レトリーバー、ケイティのお母さん、エッラ。そして右の女性は、ブリーダーのマリア・アクセルソンさんだ。
今回、エヴァ先生のセミナー(9月19日)に一緒に参加するテレース・レンさんは、今をときめく世界の犬学研究博士。スウェーデン農業大学の動物行動学を卒業し、現在、行動学からアプローチする犬の福祉について様々な研究を行っています。博士論文の一つともなったテレースさん及び同僚らの「私は愛犬が大好き。でも愛犬は私のことを…?」は、2014年に応用動物行動学会誌に発表されると同時に、 サイエンティフィック・アメリカンや 、イギリスの新聞の記事になるなど、世界中のポピュラーサイエンス界でも、注目を浴びました。
テレース・レンさんの研究は犬の感情について科学的に証明してくれる、という点で、私も随分前から興味を持って論文を読んでいました。そして、その彼女が実はエヴァさんととても仲良しであるということを昨年知ることになりました。
エヴァさんは、テレースさんを自分のセミナーのゲストスピーカーとして招聘するなど、テレースさんの研究にとても興味を持っています。
「飼い主なら、いちいち科学者に言われなくとも、犬に感情があるなんてとっくに知っていました。でも、こうして科学的にそれが証明され、いよいよ私たちの気持ちが正当化される、というのは、飼い主にとっても、嬉しいことですよね」とエヴァさん。
今までのブログで何度も述べてきましたが、エヴァさんは犬が飼い主に持つ感情 — 飼い主といっしょにいて楽しい感情、いっしょにいて幸せな感情 —、に働きかけて、それを利用してトレーニングをします。 つまり彼女自身がずっと考えていた トレーニング哲学というのは、決して擬人化したセンチなものではない、今やそれら感情面が学問の世界で証明されることに非常な安堵感を覚える、とエヴァさんは語ります。
テレース・レンさんの研究レポート、第一回目は現在発売中のハッピートリマー Vol. 73( http://www.pet-honpo.com/magazine/happy-trimmer/post-541/ )にて連載!
さて、テレースさんの犬の感情を科学する記事は、ハッピートリマー(緑書房)にて2回シリーズに渡って掲載することになりました。第一回目は現在発売中のハッピートリマー Vol. 73( http://www.pet-honpo.com/magazine/happy-trimmer/post-541/ )をご購読くださいね。今度のテレースさんのセミナーを聞く際の、よい前知識と予習となりますよ!ここで疑問を感じたことも、セミナーで是非、質問をしてぶつけてみてください。もちろん、テレースさんのみならず、エヴァさんにも、です。
なお、エヴァさんの、犬の感情の科学的解明への興味は、スウェーデンでも全国的に知られている事実で、スウェーデン国営放送がある犬行動学の 発見についてエヴァさんに、インタビューもしています。この発見は「犬は人間の怒った顔、嬉しい顔を見分けることができる」というウィーン獣医大学のCorsin A. Müllerらによる研究で、2015年2月に発表され世界的な注目を浴びました。
スウェーデン語ですが、エヴァさんが表情豊かに、インタビューに答える様子を是非、みなさんとともにシェアしたいと思います。
http://www.svt.se/nyheter/vetenskap/hundempati
エヴァさんはインタビューでこんな風に答えています。
「犬に感情がある、というのが証明されることによって、単に本能で動いている動物ではない、ということがみんなに認識されること。これが、さらには、犬とどのように接するべきか、という我々人間の倫理的な態度にもつながっていきます」
神奈川県生まれ。動物レポーター・ライター・カメラマン。
学習院大学を卒業後、オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物学科卒業。
生物学修士。
国内外のペット・メディアに向けて動物行動学や海外文化についての執筆を続ける。
現在、スウェーデンの中部ヴェルムランド地方の森で、犬、猫、馬たちと暮らす。犬は断然レトリーバー!
2015年9月に来日し、プレイボゥ主催のスペシャルセミナーを開催予定。