
集中力のトレーニングのデモストレーション。エヴァが愛犬ザックを押し出そうとするが、トリーツのはいったボールに目が釘付け。動きやしない!
各トレーナーの開催する、トレーニングコースって、実は、そのトレーナーのキャラクターがかなり表れるところでもあります。トレーナー によっては、ひたすらシリアスになりすぎ、ややもすると、やってきている飼い主さんを緊張させすぎることもある…。そんな状況下ですから、飼い主さん、何か愛犬について注意を受けた途端、泣き始めてしまったりする。こりゃ、先生、深刻になりすぎ!側から見ている者にしても、けっこう「重い」ですよね、そういうコース。それに、飼い主の感情に影響されやすいのが、犬なのだから(最近、それこそ、エヴァさんがいう通り、たくさんの学説によって証明されております)、こんなの、犬のためにも何にもなってやしない!
かと思えば、あるトレーナーは「褒める、褒める!」を強調しすぎて、なんだか、実は収拾つかない授業になってしまい、「本当にここで学べるのかな」という「ふわふわ」コースも見たことがあります。
いずれにせよ、両極端になってはいけないでしょう。トレーナーになるみなさんにとって、トレーニング教室のパフォーマンス運びってけっこう大事だと思います。 コースをいかに、 面白く楽しく、同時にためになるものにするか、その技ですら、今回やってくるエヴァ・ボッドフェルト先生から学んで欲しいと思います。
エヴァ先生のコースは、ユーモアとパフォーマンスはばっちりです。見る人を惹きつけます。シアターですね、こうなったら。スウェーデンにおけるエヴァさんのクラスの人気は、トレーニングのテクニックのみならず、彼女のユーモアに溢れたティーチングの仕方にも依るでしょう。エヴァさんは、きっちり正当な方法で、トレーニングするのですが、どこか肩の力を抜いている。それが、トレーニングクラスの中で見る、彼女のユーモアにもつながっていると思います。
彼女は犬が好きで、動物が好きで、そのトレーニングが好きで好きでしょうがない のですが、でも、関心を決して犬だけにせばめないんですね 。実は世の中のいろんなことにも好奇心を持っている。そういうオープンな思考とか、気持ちの持ち方が、トレーニングにおけるユーモアとか余裕の源となっているのではないのかな…?
今回の来日の際も、 実は2週間、日本中を津々浦々電車旅行をしてからセミナーに臨むとのこと。冒険心もばっちりです。
さて、以下に見せるのは、エヴァさんの、とても楽しいビデオクリップ。以前にもお話ししましたが、エヴァ先生は、子犬、問題犬行動コンサルタントのみならず、実は、オビディエンス、トラッキング、捜索、そしてガンドッグ競技会の上位を競うコンペティターでもあります。競技会用のオビディエンス教室で、犬がいかにまわりの誘惑を克服して、ハンドラーに集中をするトレーニングの仕方を、ユーモアを交えて紹介しました。
今や、トレーニング・コースも、一種のパフォーマンス・ショーだと思います。シーザー・ミランがシアター形式で トレーニング・デモのツアーを行ったり、それこそイギリスのゲーム・フェアに行くと、ガンドッグのトレーニング・デモは、いつも人だかりです。
ヨーロッパ最大のゲームフェア、イギリスのCLAゲームフェアでの人気デモ・パフォーマンス、キャティ・クロッパーのボーダーコリー・ハーディング・ショー。今やトレーナーはパフォーマーでもなければならない!
しかしパフォーマンスとはいえ、決して「外してはいけない」ことがあります。これは、実際にエヴァさんの教室を見て感じてみてください。犬に対して、そして飼い主に対する公平な接し方というものがあります。そして犬にとっても、飼い主にとっても、ためになり、かつ楽しい、という時間の共有がそこに存在しています。
神奈川県生まれ。動物レポーター・ライター・カメラマン。
学習院大学を卒業後、オレゴン州立大学野生動物学科を経て、スウェーデン農業大学野生動物学科卒業。
生物学修士。
国内外のペット・メディアに向けて動物行動学や海外文化についての執筆を続ける。
現在、スウェーデンの中部ヴェルムランド地方の森で、犬、猫、馬たちと暮らす。犬は断然レトリーバー!
2015年9月に来日し、プレイボゥ主催のスペシャルセミナーを開催予定。