大人になっても遊びたい!人と犬との共通点

こんにちは。プレイボゥドッグトレーナーズアカデミー事務局の大竹です。昨日のブログで、ケイティが遊びに誘ってくれたとお話させていただきましたが…犬と共通の祖先をもつといわれるオオカミは、大人になると遊び行動が見られなくなると言われています。ケイティは今6歳なので決してパピーというわけではありません。なぜ犬は、大人になってからも遊ぶのでしょうか?

犬はいくつになっても遊ぶことが大好き♪

犬は幼いまま成長している

犬の遊び行動について調べるとよく見かける単語があります。それは、“ネオテニー”です。皆さんは“ネオテニー”という単語はご存知ですか?ネオテニーは「幼態」や「幼形成熟」と言われ、子供の時の外見や特徴が大人になっても残るものです。大人になっても子供っぽい、ということですね!


犬は性成熟を迎えた後でも高い頻度で遊び行動がみられるのに対し、オオカミは、生後3年の性成熟過程を過ぎた個体では遊び行動がなかなかみられないと言われています。
また、いくつかの犬種でオオカミに似た行動がどの程度残っているのかを調べた研究も行われています。その研究では、オオカミで幼少期すぐにみられる行動は多くの犬種で確認できたものの、大人のオオカミでないと発現しない行動がみられた犬種は少なかったようです。さらに、オオカミの幼い行動のみを示す犬種は頭骨などが幼いオオカミと似ており、大人のオオカミと似た行動を示す犬種はオオカミらしい頭骨を形成していたとのこと。

このように、犬の行動や見た目の特性としてネオテニーが挙げられるのです。
「愛犬を子供のように可愛いと思う」というのは犬好きあるあるかと思うのですが、いつまでも幼い子供のように遊ぶ姿や見た目が、人間の親が子供に思うような「この子を私が守り、育てなければ!」というような意識を高めているのかもしれませんね。

ネオテニーを知るカギは“家畜化”?

ネオテニーは犬の特性ということをお話しましたが、犬と人が共に過ごすようになったことが、この犬のネオテニーにどう関係しているのでしょうか?
攻撃性が低く親和性が高い犬の祖先がヒトに近寄って来て、共に過ごすようになった(家畜化された)という説があります。これを支持するものとして、ロシアのギンギツネの家畜化に関する研究が挙げられます。これは、家畜化の際に人間に対して攻撃性の低い個体とそうでない個体に分けて交配を続けたものです。その結果、攻撃性の低いおとなしい個体の系統では、尻尾が巻き尾になったり、耳が垂れたりと、まるで犬のような容姿になり、遊び行動も増えたそうです!さらに興味深い事にそれらの個体はオオカミにはできなくて犬にはできる「ヒトの指差し」を理解することもできたのだとか。

野生動物は,自然の中で生き残っていくために日々厳しい生存競争に勝たなくてはいけません。しかし、野生動物でも幼い個体にははこのような厳しい生存競争に勝ち残るだけの攻撃性や警戒心等は求められません。つまり、ヒトに家畜化されたことで厳しい状況から解放されたことが、ネオテニーを加速させた要因のひとつであると考えられるのです。

ギンギツネ

ギンギツネの写真。この容姿が犬に近づくなんて想像できませんね。

ヒトにおけるネオテニー

先ほど、攻撃性が低く、親和性の高い犬の祖先がヒトとともに生活をするようになったと考えられる、と言いましたが…。ヒトも犬と同じような進化を遂げている可能性があります。ヒトの進化の過程でチンパンジーと分かれたのも,同じように穏やかな個体が生まれたために,ヒトがヒト特有の進化を始めたのかもしれない、と言われているのです。
私達人間も、遊びの種類は子供の頃と変わってくるかもしれませんが、大人になっても遊びますよね!犬と同様、ヒトもネオテニーが強く入っていると言われており、「ヒトは自分自身を家畜化した唯一の動物」という考え方もあるそうです。厳しい状況下での生活の中で、穏やかで、そして協調性のある個体が生き延びた。その結果として狩猟や農耕が始まったことで厳しい状況下での生活を脱し、安定した暮らしを手に入れた。これこそが“自分自身の家畜化”という見解だということです。また、ヒトの生活の中に犬がいることが、ヒトのネオテニーをさらに加速させたとも考えられています。天敵から身を守る際に犬の優れた嗅覚や聴覚がいたことから、ヒトはより厳しい状況下での生活から解放された、というのです。

最後に…

ヒトの進化にも一役買っていた犬の存在。知れば知るほど、人と犬の関係性は奥深い。プレイボゥはそんな「犬」に関する様々な情報を皆さまにお届けできるよう日々アンテナを張り情報のアップデートに努めています。私達と、そして犬達と一緒に“犬”について学びを深めていきましょ~!!