ドッグトレーニングは白か黒か!?
ドッグスポーツの一つ、<ガンドッグ>
こんにちは、プレイボゥの鈴木です。
3月の事になりますが、故・森山のトレーニングの師匠でもある
英国のドッグトレーナー、フィリッパ・ウィリアムスが来日しました。
彼女はガンドッグトレーナーやそのジャッジとしても有名であり世界3大ドッグショーでもある英国ケネルクラブ主催のクラフツにも毎年パフォーマンスを依頼されていたドッグトレーナーです。
(詳しくは以前のブログをぜひ⇒3月と言えばやっぱりアレ!)
今回、フィリッパの下で7年間修業を積んできた
日本のガンドッグトレーナーでもある磯野麻衣子さんが招致し、
4日間のガンドッグに関するセミナーを開催しました。
私も1日だけでしたが参加してきました。
<ガンドッグ>とは鳥に見立てたダミーと呼ばれるものを、ハンドラーの遠隔指示で犬に回収させるスポーツで、
英国では貴族のスポーツとして故・エリザベス女王もやっていた由緒あるドッグスポーツです。
このダミーを使ったものをワーキングテストと呼び、
(ヨーロッパの一部ではダミー・トライアルとも言われている?)
そして実際に狩猟をして鳥を撃ち落とし、それを回収するのはフィールド・トライアルと呼ばれています。
ドッグスポーツは犬と飼い主との共同作業となり、犬の身体能力云々よりも、飼い主とのコミュニケーションが一番大事なので究極のオビディエンスと言っても過言ではありません。
私のアジリティの師匠も常にそれを言ってました。
ただし、ガンドッグでは犬がハンドラーの指示に従うのも必須ですが
犬の自主性が問われるものでもあります。
なぜかと言うと。。。
犬は飼い主を移す鏡
ダミーは見えるところに落とされるだけではなく
80メートルから100メートルほど離れた草むらに隠されている事もあり、
ハンドラーの指示でそこまで真っすぐ行ったとしても、
その先は「その辺を探せ」という指示のもと
犬は鼻も使って探さなくてはいけないからです。
更に。
ハンドラーは犬が進む地形や風向きをも考えて
ハンドシグナルやホイッスルで指示をする必要があるので
そこはハンドラーの手腕も問われます。
そして結構ハンドラーの性格が犬に出るのです。
20年以上前に犬のボディランゲージの第一人者と言われる
トゥーリッド・ルーガスのセミナーに参加したのですがその時の言葉が今でも残っています。
結構有名な言葉かもしれません。
『犬は飼い主を映す鏡』
我がパートナー、ケイティは一言で言うと「雑」「中途半端」(汗)
ケイティ、ごめんなさい・・・。
さて、今回のフィリッパのセミナーで改めて思った事。
トレーニングは白か黒かでグレーではない、って事。
これだけでは何のこっちゃ?ですよね。
それ、許してませんか?
当たり前なんだけど、実はグレーにしていたトレーニング。
自分が思い描く形ではなくても、終わりが正解だったら「良し」にしていませんか?
おすわりを例にしてみましょう。
「お座り」と言いました。
犬は最終的には座ったけど
・若干お尻が浮いてちょっと前傾姿勢になっていた
・座るまでに時間がすごーくかかった
・座ったけどおやつをあげるところで立ってしまった
最初はきちんと座るまできっちりやっていたものの、時間の経過と共に
「でもいいや、出来たよね」
「うーん、ま、いっか」
となっていませんか?
グレーですよね、グレーですよね。
そして座ろうとする姿、もしくは座った瞬間を見せれば
OKなんだと犬は学びます。
”これをやればおやつをもらって終わりという「芸」なのだ”と学びます。
フィリッパからすると「お座り」はその言葉の通り、座ったらずっと座り続ける事なのです。
「そこに座って居てね」という事。
指示は1回。
厳しく言うのではなくささやく様に言うだけで、犬が”わかった、今は座るんだね”となる事です。
ガンドック時のケイティのグレーの例を挙げると。
ダミーの落ちた場所を見て、私は「真っすぐ行け」の指示を出しました。
ケイティは真っすぐ行く途中で私のイメージする「真っすぐ」よりも若干右方向へ。
その後ダミーの匂いをとって右からギュイーンと左に行ってダミーを回収してきたのですが
「ま、いっか」となっていた私。
「真っすぐ行け」の理想は指示した手の方向に真っすぐと突き進む事。
その後、同じ場所にダミーを隠し、再度練習したところ
また真っすぐ行かずに途中から右方向に行き、左旋回してから回収しました。
ダミーの場所がわかっているのに、です。
グレーを許した為です。。。
ケイティは”一度右方向にいってから左に向かっていく”
もしくは”真っすぐ行かなくてもダミーさえ回収すればOK”と、学んだのです。
ハンドラーである私が「真っすぐ」のラインをしっかりと決め
それ以外は真っすぐではない、と教えなければ
ケイティは”そうか、これが真っすぐなのね”とはなりません。
磯野さんからもちょこちょこ指摘されていた
『それで犬は何を学ぶか』と言うのは
フィリッパの『白か黒かはっきりと教える』に繋がっていたのです。
ぜひ愛犬を観察してみてください
犬と暮らしていく中でのトレーニングでは
そこまでやらなくてもいいのかもしれません。
でも「これだけは」というものに関しては、グレーではなくはっきりと伝えた方がいいかな、と思います。
『犬はそれで何を学ぶか』
ご自身の犬、ちょっとだけ観察してみてください。
結構気づきがありますよ。